
当連結会計年度におけるわが国経済は、日本銀行によるマイナス金利政策が解除され、デフレからの脱却に向け歩みを進めるなか、雇用・所得環境が改善し個人消費や設備投資に持ち直しの動きがみられ、景気は緩やかに回復いたしました。一方で物価上昇の継続が消費者マインドに及ぼす影響や米国の通商政策の動向など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
情報サービス産業におきましては、既存システムのモダナイゼーション※1への需要や、デジタル技術を活用してビジネスの変革を図るデジタルトランスフォーメーション(DX)への需要が牽引し、市場の拡大基調が継続いたしました。
このような経営環境の下、当社グループは中期経営計画『NEXT C4』の基本戦略である、コアビジネスの拡大及びDX案件の積極的受注に向けて、新規エンドユーザー取引の開拓や既存顧客の新規プロジェクトの立ち上げに注力いたしました。また、プロジェクトリーダー(PL)やDX技術者の育成促進及び若手層のスキル向上に取り組むとともに、生成AIの開発プラットフォームの研究・検証及び教育を進めました。なお、サステナビリティへの取り組みにつきましては、グローバルな評価機関であるEcoVadis社※2のサステナビリティ評価において、上位35%の企業に授与される「ブロンズメダル」を獲得いたしました。
その結果、連結売上高は18,066百万円(前期比4.1%増)、営業利益は1,807百万円(同5.1%増)、経常利益は 1,821百万円(同5.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,293百万円(同9.2%増)となりました。
当連結会計年度のサービス分野別売上高は、次のとおりであります。システムの企画/設計・開発フェーズで提供するシステム・ソリューションサービスは、銀行及び保険並びにクレジットのDX関連の案件が拡大したことなどにより、6,833百万円(前期比15.5%増)となりました。また、システムの稼働後に提供するシステム・メンテナンスサービスは、クレジット向けを中心にDX関連の案件が拡大したもの の証券及び流通向けで一部案件が収束したことなどにより、11,233百万円(同1.8%減)となりました。
当連結会計年度の業種別売上高は、次のとおりであります。 銀行業界向けは 2,545百万円(前期比6.8%減)、証券業界向けは 1,145百万円(同68.7%増)、保険業界向けは 5,716百万円(同0.6%増)、クレジット業界向けは 2,138百万円(同18.2%減)、公共向けは 1,355百万円(同4.0%増)、流通業界向けは 1,266百万円(同0.6%減)、その他業界向けは 3,191百万円(同4.7%増)となりました。
また、配当政策につきましては、株主の皆様に安定的かつ適正な利益還元を継続していくことを基本方針として おり、目安とする連結配当性向の水準を40%としております。この方針に基づき、1株当たりの配当金につきましては、22円の中間配当を実施し、期末配当は、普通配当23円の配当案を第49期定時株主総会に付議することといたしました。これにより、1株当たりの年間配当金は、45円(前期に比べ1円50銭の増配)となり連結配当性向は 40.3%となります。
(※1)モダナイゼーション:既存のソフトウェアやハードウェアを、最新のシステムや設計に置き換えること
(※2)EcoVadis社:世界185か国、15万社以上の企業に対して、「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な調達」の4つのテーマによ り、サステナビリティ評価を提供
当社グループは、ソフトウェア技術・デジタル技術をお客様へ提供し、ベスト・パートナーとしてお客様とともに持続的未来の実現に向け成長することをビジョンとしております。そのために、デジタル技術を核とし、実装能力に裏打ちされた技術力を恒常的に提供できる企業を目指しております。
現在、当社グループは、中期経営計画 『NEXT C4』を策定し、次の基本戦略に取り組んでおります。
・ 主力の受託開発事業(コアビジネス)の拡大
・ デジタル技術を核とした、DX案件の積極的受注
・ 人的資本への投資を継続実施
・ 開発人員の増強
・ 更なる事業拡大に寄与する業務・資本提携やM&Aの遂行
以上の戦略実現に向けて、次の施策に注力してまいります。
- 受注の確保及び売上高の拡大
ユーザー企業を取り巻く様々な要因により経営環境が変化し事業戦略が見直されます。この影響により、システム投資が再考され受注予定案件の縮小・延期・中止等に繋がることもあります。
当社グループは、これまで蓄積した業務知識と技術力をもとにビジネス領域を拡大し、「コスト削減」「業務効率の向上」「セキュリティ強化」「新規ビジネス展開」等々、顧客のニーズに沿った提案営業活動を加速し、ストック受注案件を大幅に積み上げることなどにより柔軟に対処してまいります。また、新規事業分野及び優秀な技術者の獲得に向けて、M&Aを戦略的に推進し当社グループ全体の売上高拡大を目指してまいります。 - DX案件の積極的受注及び生成AI活用の促進
企業は競争力を高めるためにDXの実現に向けたIT投資が旺盛であります。当社グループは、引き続きDX技術者の増員及びスキルアップに努め、DX案件売上高比率を高めてまいります。
特に、生成AIにつきましては、昨年度、当技術を活用した自社製品「ジシャナビ」をリリースしました。現在、当社内及び一部のお客様にて試験導入いただき社内業務の自動化をより正確に効率的に実現できるよう、ブラッシュアップしております。なお、当社の事業であるシステム開発におきましても、各工程のベストプラクティスを導き出すことにより、品質及び生産性の向上に繋げてまいります。また、各種の生成AI開発プラットフォームの研究・検証を継続するとともに、生成AIを使いこなせるAI技術者を計画的に育成してまいります。
- サステナビリティ及び人的資本投資の推進
当社グループは、本業を通じてステークホルダーの信頼・期待に応え、当社グループの企業 価値を高めるとともに、持続可能で真に豊かな社会の実現に向けて貢献したいと考えております。地球環境課題に対しては、CO2排出削減目標を設定し、脱炭素社会に向けた取り組みを継続的に進めてまいります。
特に、当社グループの持続的な企業価値の向上のためには、人的資本への継続的な投資が不可欠であります。社員満足度調査により認識した課題に対し、柔軟な働き方の推進や処遇の改善など人事制度改革を通じて、社員エンゲージメントを高め、幸福度の向上を目指してまいります。
以上、これらの取り組みにより、更に受注領域を拡大して高付加価値ソリューションを提供することを目指してまいります。