
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、経済社会活動の段階的引き上げに伴い、緩やかながらも持ち直しの動きがみられました。しかしながら、資源価格の高止まりや部品・半導体供給の停滞、急激な円安に加え、地政学的リスクが高まるなど、景気の先行きは依然として不透明な状況となりました。
情報サービス産業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により抑制されていたユーザー企業のIT投資需要が回復し、特に主力の受注ソフトウェアの売上高につきましては、既存システムの更新・刷新需要のほか、デジタルトランスフォーメーション(DX)※の進展などにより案件数は増加し堅調に拡大いたしました。
このような経営環境の下、当社グループは、「中長期経営計画 C4 2022」の経営戦略に基づき、重点顧客を中心に将来の受注拡大を見越した新規案件への参入及び業務知識と技術力を活かした担当業務領域の拡大に注力いたしました。また、DX案件につきましては、デジタル技術を活用してユーザー企業のビジネスの創出をともに推進する案件を積極的に受注したほか、企業向けの業務自動化サービスの提供に注力いたしました。加えて、プロジェクトリーダー(PL)の育成、開発プロセス管理や問題解決力の向上を軸に、人的資本への投資を継続いたしました。なお、新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されていない期間においても、引き続き社内におけるテレワーク実施率目標を定めるなど、当社グループ社員をはじめ事業関係者の健康と安全確保を最優先に取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は16,681百万円(前期比8.1%増)となりました。利益面では、プロジェクト管理向上に伴う採算性の向上などにより、営業利益は1,716百万円(同25.5%増)、経常利益は1,719百万円(同25.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,213百万円(同29.5%増)となりました。
当連結会計年度のサービス分野別売上高は、次のとおりであります。
システムの企画/設計・開発フェーズで提供するシステム・ソリューションサービスは、クレジット及び流通並びその他の陸運業界向け案件が拡大したことなどにより、6,657百万円(前期比7.8%増)と増加に転じました。 また、システムの稼働後に提供するシステム・メンテナンスサービスは、銀行及び流通並びにその他の警備業界向 け案件を中心に、継続受注に注力したことなどにより、10,024百万円(同8.3%増)となりました。
当連結会計年度の業種別売上高は、次のとおりであります。
銀行業界向けは 2,359百万円(前期比7.6%増)、証券業界向けは 474百万円(同11.6%増)、保険業界向けは 5,768百万円(同0.5%増)、クレジット業界向けは 2,933百万円(同7.9%増)、公共向けは 818百万円(同23.7% 減)、流通業界向けは 1,102百万円(同42.4%増)、その他業界向けは 3,226百万円(同28.6%増)となりました。
また、1株当たりの配当金につきましては、17円50銭(創立45周年記念配当5円含む)の中間配当を実施いたしました。なお、期末配当につきましては、普通配当22円50銭の配当案を第46期定時株主総会に付議することといたしました 。
(※)デジタルトランスフォーメーション(DX):
企業がIoT、AI、ビッグデータ等の先端デジタル技術を活用して新たな製品サービス、ビジネスモデルを創出すること。
当社グループは、「中長期経営計画 C4 2022」を策定し、次の経営戦略に取り組んでおります。
・ 既存の受託開発事業(コアビジネス)の拡大
・ 技術革新及び顧客のビジネスモデル変革に対応した、DX案件の積極的受注
・ 体質強化への投資を継続
・ 開発人員の増強
・ 当該計画の課題解消に寄与する業務・資本提携やM&Aの遂行
以上、当該計画の最終年度である2023年3月期を迎えるにあたり計画の完遂に向けて、また、その先を見据えて、次の施策に注力してまいります。
- 事業拡大
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、テレワークやオンライン会議を前提とし た新しい働き方が定着し、プロジェクト運営等においても業務プロセスの正常化が進みまし た。また、アフターコロナを見据えて、業務効率の改善や事業の拡大、新たなビジネスの創出 に向けて、ユーザー企業におけるITへの投資の重要性が高まっております。
既存の受託開発事業は、当社グループの収益源であり、引き続き、重点顧客を中心に将来の 受注拡大を見越した新規案件への参入及び業務知識と技術力を活かした担当業務領域の拡大に 注力してまいります。 DX案件に対しましては、デジタル技術者を提供するのみならず、ユーザー企業のビジネス の創出を当社もともに推進する体制を提供することなどにより、受注の拡大及び新規エンドユ ーザーの開発に繋げてまいります。また、引き続き、顧客の業務効率改善に向けた、業務自動 化ソリューションを提案してまいります。
加えて、将来に向けて新たなビジネスを創出し、そのマネタイズを目指してチャレンジする ビジネスマインドを持った人材の育成にも取り組んでまいります。 - 体質の強化
引き続き、プロジェクトリーダー(PL)の育成に向けて、品質・スコープ・コスト・進捗の各 管理手法を体系的に学べる社内講座を通じて能力向上に取り組みます。また、全社員を対象にしたe-ラーニングの必須講座を導入し、全社員のスキル向上を図ります。
加えて、プロジェクト運営の社内標準化を更に浸透させ、生産性及び品質の向上に伴う収益 性の向上に繋げてまいります。
また、開発人員の増強に向けて、コアパートナー企業との連携強化及びオフショア・ニアシ ョアを含めた技術者の確保に努めるとともに、特に新卒採用者数につきましては、従来の60 名から80名に増員し、社内育成することにより、開発体制を強化していく計画であります。
当社グループの様なIT企業にとっては、人材が最も重要な経営資源であります。人的資本へ の投資を継続するとともに、最大限のパフォーマンスが発揮できるよう環境を整えてまいります。
なお、本年4月より、東京証券取引所の市場再編に伴い、当社はプライム市場へ移行いたしました。コーポレートガバナンス・コードへの対応を通じて、経営の高度化・効率化により、更なる中長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。
以上、当社グループは、2017年3月期を初年度とし2023年3月期を最終年度とした「中長期経営計画
C4 2022」を策定し推進しております。2021年3月期からは、当該計画の第3ステップと位置付け、安定的かつ着実な成長を目指し、次の経営戦略に取り組んでおります。
・ 売上高:177.5億円(年平均売上高成長率7%)
DX関連売上高比率10%超。
・ 売上高営業利益率:10%以上の確保
・ ROE:12%以上の確保