
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が進み、デジタル化や省力化等の設備投資を中心 に持ち直すなど、景気は緩やかに回復いたしました。一方で、物価上昇による消費マインドへの影響や金融資本市 場の変動、海外経済の先行き不透明感の高まり等、不確実性が高い状況が継続しております。特に今後の中東情勢 の影響は注視する必要があります。
情報サービス産業におきましては、デジタルトランスフォーメーション(DX)や、既存システムのモダナイゼーション※ 、行政サービスのデジタル化といったIT投資需要が堅調に推移しております。
このような経営環境の下、当社グループは中期経営計画『NEXT C4』の基本戦略である、コアビジネスの拡大及 びDX案件の積極的受注に向けて、新規エンドユーザー取引の開拓や既存顧客の新規プロジェクトの立ち上げに注力 いたしました。また、AIを活用したソフトウエア開発プロセスを導入し、設計から実装、ドキュメント作成までの 工程をAIで効率化する取り組みを開始しました。
その結果、連結売上高は18,216百万円(対前期比0.8%増)となりました。一方、利益面につきましては、収益性 の向上を図り売価の改善等に取り組みましたが、給与水準の引き上げや積極的な採用活動、ビジネスパートナーの 単価改定等、人材投資を継続的に実施したこと及び企業買収に伴う一時的な費用が増加したこと等により、営業利 益は1,562百万円(同13.5%減)、経常利益は1,583百万円(同13.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は 1,141百万円(同11.7%減)となりました。
当連結会計年度のサービス分野別売上高は、次のとおりであります。
システムの企画/設計・開発フェーズで提供するシステム・ソリューショ ンサービスは、その他業種向け(専門商社系エンドユーザー)が拡大した一方で、公共向け及び流通向けの一部案 件が収束した結果、6,610百万円(対前期比3.3%減)となりました。また、システムの稼働後に提供するシステ ム・メンテナンスサービスは、保険向けの一部案件が収束した一方、銀行向け及びその他業種向け(食品メーカー 及びITサービス系エンドユーザー)の取引が拡大した結果、11,606百万円(同3.3%増)となりました。
当連結会計年度の業種別売上高は、次のとおりであります。
銀業界向けは 2,680百万円(前期比0.3%減)、証券業界向けは 1,005百万円(12.9%増)、保険業界向けは 5,582百万円(同4.3%減)、クレジット業界向けは 2,646百万円(同1.6%減)、公共向けは 1,288百万円(同13.5%減)、流通業界向けは 974百万円(同12.4%減)、その他業界向けは 4,041百万円(同20.0%増)となりました。
また、配当政策につきましては、株主の皆様に安定的かつ適正な利益還元を継続していくことを基本方針として おり、目安とする連結配当性向の水準を40%としております。この方針に基づき、1株当たりの配当金につきまし ては、23円の中間配当を実施し、期末配当は、普通配当23円の配当案を第50期定時株主総会に付議することといた しました。これにより、1株当たりの年間配当金は、46円(前期に比べ1円の増配)となり連結配当性向は45.3% となります。
(※)モダナイゼーション:既存のソフトウェアやハードウェアを、最新のシステムや設計に置き換えること
当社グループを取り巻く事業環境は、DX需要の拡大やAIの進展に加え、コスト構造や案件の短期化・高度化などにより大きな転換点を迎えております。
前中期経営計画『NEXT C4』では、上流工程から下流工程までを一気通貫して対応できる事業運営と主要顧客との取引を基盤として、一定の事業規模及び収益性を確保してまいりました。 一方で、より高付加価値な上流・高度領域への展開による構造転換が課題であるとの認識に至っております。
当社グループは、長期ビジョンとして「顧客と共に何を創るかを定義し、価値を創出し続ける 価値共創企業」への転換を掲げております。
この実現に向け、中期経営計画『Re:Growth2028』は将来の収益成長に向けた投資フェーズと位置付け、「安定的な収益基盤の拡大」と「新たな成長領域への挑戦と創出」の両輪で、経営基盤整備と事業構造の転換を図り、再び成長軌道に乗る起点といたします。
このため、当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
- 受注基盤強化と事業構造転換による事業規模の拡大
当社グループは、高付加価値案件の継続的な獲得を通じて、受注基盤の強化と事業規模の拡大を図ることを重要な課題と認識しております。
従来の人月モデルを中心とした受託開発に加え、業務理解力とシステム構築力を基盤に、上流工程や高度領域における付加価値提供によって収益を創出する事業構造への転換を進めるとともに、エンドユーザーとの直接取引比率の向上に努めてまいります。
また、AIを活用した提案力及び受注力の強化に加え、AIを含む技術・ノウハウを組み合わせたソリューションビジネスの拡大を通じて、収益構造の多様化を図ってまいります。
これにより、案件の内容・単価・継続性の観点から、質の高い受注構造への転換を目指してまいります。
併せて、成長戦略の一環としてM&Aを活用し、更なる事業領域と事業規模の拡大を図ってまいります。 - AI活用による競争力強化と価値創出の高度化
AI活用は、単なる作業の自動化や省力化にとどまらず、システム構築において、業務全体を理解し、システムを設計・統合して価値を提供する能力の重要性が一層高まっております。
当社グループはこれまで、「ユーザー×SIer」「サービス×システム」「業務×IT」を「つなぐ力」で、課題を解決し価値を提供してまいりました。
AI時代においては、「つなぐ力」と「一気通貫力」といった当社の強みをベースに、AI駆動開発※への転換を図ってまいります。これにより、生産性向上と価値創出を両立させた成果を 顧客へ提供することを通じて、競争力を高め、選ばれるSIerであり続けることを目指してまいります。
また、そのためにAIを使いこなせるエンジニアの育成・増強に向けた計画的投資に取り組んでまいります。 - 人材戦略による成長基盤の確立
当社グループの持続的な成長を実現するためには、事業戦略及びAI活用を支え、これらを確実に実行できる人材基盤の強化が不可欠であると認識しております。
新卒採用及びキャリア採用を通じた計画的な人材確保に加え、社員エンゲージメントの向上を重要な経営課題と位置付け、社員満足度調査等を通じて把握した課題を踏まえながら、人事 制度や働き方に関する施策を随時見直してまいります。併せて、事業戦略及び事業構造の転換に対応した人材ポートフォリオの高度化を図るとともに、多様な人材が公平に活躍できる職場環境の整備を進め、持続的な成長を下支えする人材基盤の構築を目指してまいります。 - グループガバナンスと経営基盤の強化
当社グループは、事業領域の拡大やM&Aの実施によりグループ構成が変化する中で、戦略を確実に実行し、持続的な成長につなげていくためには、グループ全体を見据えたガバナンス及び経営基盤の一層の強化が重要な課題であると認識しております。
このため、当社グループは、グループ各社における役割と責任を明確化しつつ、権限委譲と統制のバランスを適切に保ちながら、意思決定の迅速化と経営の実効性向上を図ってまいります。
併せて、事業戦略や投資判断の実行状況を継続的にモニタリングし、必要に応じて戦略の修正や是正を行う仕組みの高度化に取り組んでまいります。
また、M&Aを通じてグループに加わった企業との連携を深め、プロジェクト管理、品質管理、リスク管理、情報セキュリティなどのグループ全体の事業運営の安定性と効率性の向上を図ってまいります。
※ AI駆動開発:設計・実装・テスト等の開発工程の一部または複数の工程にまたがってAIを活用する開発手法。




